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伊達淳一先生レポート【KANI】Dual Purpose GND 0.75 filter 検証

October 30, 2018

Kani Dual Purpose GND 0.75 filter

<概要>
Dual Purpose GND 0.75 filterは、フィルターの方向を上下入れ換えることで、1枚でSOFTとHARDの2通りの効果が得られる、これまでなかったタイプのハーフNDフィルターだ。最大濃度も0.75と、一般的な0.9よりも少し抑え気味にし、多くのシーンでND効果が強くなりすぎないように配慮しているのが特徴だ。

<解説>
 日の出、日の入り前後など、明暗差が非常に大きな風景撮影に効果的なのが、ハーフNDフィルターだ。英語では“Gradation ND Filter”といい、型番などでは“GND”と略して表記されることもある。以前は樹脂製のハーフNDフィルターが主流だったが、最近は画質への影響が少ないガラス製NDフィルターが登場し、グラデーションのパターンや濃度のバリエーションも豊富なので、撮影シーンに応じて最適な効果が得られるハーフNDフィルターを選べるようになった。
 定番は「SOFT GND 0.9」。ND部分から透明部分に緩やかに濃度変化するので境目が目立ちにくく、最大濃度部分で3段分の減光効果(ND8)が得られるのが特徴だ。ただ、日の出、日の入り前後は地表近くがもっとも明るいので、明暗の境目が緩やかなSOFT GNDフィルターでは地表付近を十分に減光できず、逆に空の上の方が必要以上に暗くなってしまいやすい。地表付近の空を効果的に減光したいときは、明暗の境目がもっとクッキリしている「HARD GND」や「REVERSE GND」フィルターが適しているが、海や川など水面の反射を含むシーンには、「SOFT GND」フィルターが適している。
 そのため、ボクは「SOFT GND 0.9」と「REVERSE GND 0.6」の2枚を持ち歩くことが多いのだが、REVERSE GNDを使っていて気づいたのが、多くの撮影ではフィルターの中央部分しか使われておらず、REVERSE効果が得られるのは、縦位置で空を大きく入れた構図で撮影したときくらいで、横位置撮影の多くは、REVERSE GNDを使っていても、実際の減光効果はHARD GNDとほぼ同じではないか、ということ。
 そこで、GNDフィルターをホルダーにセットした状態で、フィルターのどの範囲が使われているのかをチェックしてみると、ソニーのFE16-35mm F2.8GMで、フィルターの約75×50mmの範囲ということがわかった。他のレンズも試してみたが、フィルター径が77~82mmクラスの超広角、標準ズームならだいたい似たような結果だった。考えてみれば、100mm幅のフィルターをホルダーにセットした状態で、縦横比3:2の画面が最大限でどれだけ入るかを確かめてみれば、想像していたよりも狭い範囲しか使われていないことがわかる。
 それなら、もっとND部分の幅を減らして中央に持ってくれば、フィルターを挿入する方向を換えることで、HARDとSOFTの2通りの効果が得られるのではないか、とKANIに提案して生まれたのが「KANI Dual Purpose filter」だ。
 

 

 

使用範囲: SOFT GND

 

KANI Filter holder HT2(100mm幅用)に定番のSOFT 0.9を装着。75×50mmの枠を赤で表示しているが、フィルターが使われている範囲は意外と狭く、ほとんどのケースでは最大濃度の0.9まで使われることはなく、中央の境界付近よりちょっと上は0.6あるかどうかだ。レンズによってはもう少し広範囲を使うものもあるかもしれないが、ホルダーの枠やフィルター枠を考えると、だいたいこの範囲と考えていいと思う。



Dual Purpose filterに75×50mmの枠を重ね合わせてみた。縦位置で地上の風景をできるだけ多く入れられるように透明部分の幅を確保した分、ND部分が狭くなり、空を大きく入れたシーンは不向きになってしまったが、空が画面の半分程度を占める構図ならなんとかカバーできる。空を思いっきり多く入れる撮影には、既存のSOFTやREVERSEが適している。そこは使い分けが必要だ。

 

 使用範囲: Dual Purpose (SOFT)横

 

 

使用範囲: Dual Purpise(HARD)横

 

 

使用範囲: Dual Purpose(SOFT)縦

 

 

使用範囲: Dual Purpose(HARD)縦

 

 


 濃度にもこだわっている。HARD GNDだと0.9では効果が強すぎて使えるシーンが限定されるし、0.6だと撮って出しだとわずかに効果が弱い。そこで、多くのシーンでND部分の効果が強くなりすぎず、それでいて、カメラの階調補正機能やレタッチで後処理するよりも、シャドーの階調にストレスをかけずに撮影できる濃度として、Dual Purpose filterは、従来にない“0.75”という最大濃度にしてもらった。
 実際にできあがったDual Purpose 0.75でいろいろなシーンを試してみたが、太陽が薄雲で減光されていたり、陽が沈んだ後の焼けた空と地上などにはぴったりマッチする。目で見て眩しいくらいの夕陽が画面内に入るシーンではちょっと効果が弱めだが、REVERSE 0.6を重ねがけするとちょうどいい明暗差に抑えられる。KANIフィルターは平面性が良く、重ねがけしてもレンズの解像性能があまり低下しないので安心だ。
 とにかくND効果が強すぎると違和感のある仕上がりになるので、もし、ほんの少し効果が足りなく感じるようなら階調補正で補うくらいが、いかにもハーフNDを使いましたという感じになりにくく、シャドーの階調を荒らさず自然な仕上がりが期待できる。反射防止コーティングはもちろんPremiumタイプで、太陽を画面内に入れてもレンズとフィルター間の面間反射が非常に起きにくくなっている。

【比較作例】
山梨県河口湖畔の大石公園にて。残念ながら夕暮れ時には富士山は雲隠れしてしまったが、陽が沈んでから、もう今日は焼けそうもないなと諦めかけたとき、西の空が急に色づき始めて激焼けに。慌てて場所を移動し、印象的に焼けた夕空と赤く色づき始めたコキアを、カメラの階調補正機能とDual Purpose filterを使って両立させてみた。
使用機材/ソニーα7RIII FE24-70mm F2.8GM(24mm)
 

 

 

カメラの階調補正機能もハーフNDフィルターも使わずに撮影。焼けた空が盛大に白トビしない露出で撮影すると、下のコキアはかなり暗くなってしまう。 

 

 

ソニーの階調補正機能DROを手動で[Lv5]に設定。同じ露出でもシャドーが大幅に明るく再現され、コキアの存在がわかるようになる。

 

 

 Dual Purpose filterの刻印が上下逆になる方向に挿入すると、SOFT GND 0.75になる。夕空の明るさが抑えられ、赤みがより濃く再現されている。

 

 Dual Purpose filterの刻印が正位置の方向に挿入すると、HARD GND 0.75になる。SOFT GNDよりも地表付近の空の明るさが抑えられ、上の空やコキアが明るく再現されている。


【他タイプのGNDフィルターとの比較】

<横位置>

 

  フィルターなし

 

 KANI Premium LR MC SOFT 0.9

 

 

KANI REVRESE GND 0.6

 

 KANI Dual Purpose filter 0.75 SOFT側

 

 KANI Dual Purpose filter 0.75 HARD側


使用機材/キヤノンEOS5D MarkIV EF24-70mm F2.8L II USM(24mm)


空の明るさと太陽の周りの減光効果の違いに着目。SOFT GND 0.9もDual Purpose 0.75のSOFT側も空の上の部分がより暗く落ち込んでいるのに対し、REVERSE 0.6やDual Purpose 0.75のHARD側は、空の上の方はそれほど暗くならず、太陽の周りの明るさがより抑えられている。また、最大濃度はDual Purpose 0.75よりもSOFT GND0.9の高いが、実際に空の上の部分に使われるフィルター濃度はDual Purpose 0.75 SOFT側のほうがわずかに高く、より上空の減光効果が強く出ている。REVERSE 0.6とDual Purpose 0.75のHARD側の比較では、Dual Purpose 0.75のほうが0.5段ほど減光効果が強く、空の明るさがより抑えられている。このように、Dual Purpose 0.75は、挿入する方向を換えることで、従来のSOFT 0.9とREVERSE 0.6の2種類の効果が得られるハーフNDフィルターだ。

<縦位置>

 フィルターなし

 

 KANI Premium LR MC SOFT 0.9

 

 KANI REVERSE GND 0.6

 

 KANI Dual Purpose filter 0.75 SOFT側

 

 KANI Dual Purpose filter 0.75 HARD側


使用機材/キヤノンEOS5D MarkIV EF16-35mm F4L IS USM(19mm)

一時期、SNSで流行った十間橋からのスカイツリー。水面に映る逆さスカイツリーを強調するにはハーフNDフィルターが効果的だが、ハーフNDの種類によって写りがどのように違うかを比較してみた。Dual Purpose filterの弱点である広角の縦位置撮影だが、画面全体に対して空が占める比率が1/2程度であれば、SOFT側でも問題なく使用できる。HARD側なら空の比率が2/3弱程度であれば、ワイド端縦位置でもなんとかカバーできることが多い。SOFT GND 0.9とDual Purpose filter ワイド側は上空が暗くなっていて、まるでレンズの周辺減光にも見えるが、このシーンにおいては焼き込み効果として、スカイツリーとリフレクションに視線を誘導する役割を果たしている。一方、REVERSE 0.6とDual Purpose 0.75のHARD側は、空の上の方が暗くなりにくい代わりに、水面の反射がより強調されている。REVERSE 0.6のほうがより自然な仕上がりで、Dual Purpose 0.75のHARD側は水面のリフレクションが少し明るめだが、リフレクションのほうが明るくなる逆転現象は起きておらず、個人的はぎりぎりセーフ。これが、濃度0.9ではなく、0.75にこだわった理由だ。


 ただ、Dual Purpose filterにも弱点がある。ND部分をフィルター中央に持ってきたことで、空を大きく入れた構図(特に縦位置)では、ND部分の幅が足らず、空の上の方が明るくなってしまう。試作段階であと5mmND部分を増やすことも検討してみたが、透明部分が狭くなってしまうので、今度は地上を大きく入れた構図に弱くなってしまう。ハーフNDフィルターを使うシーンは、地上に明るく見せたい被写体がある場合が多いと考え、地上を大きく入れた構図で撮れることを重視した。HARD効果が得られる方向で使うとREVERSE効果が得られるかと思ったが、REVERSEよ