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伊達淳一先生寄稿記事:Premium Sky Blue Dual Purpose GND 0.6の狙い

 梅雨時の湿度の多い時期や黄砂で霞んだり濁った青空を、なんとか自然な青みで再現できないかと考え、考案したのが「Premium Sky Blue Dual Purpose GND 0.6」(以降、SkyBlue)です。通常のGNDフィルターで霞んだ白っぽい青空を減光すると、グレーっぽい青空になってしまいがちですが、SkyBlueのND領域は、一般的な青空の色相とほぼ一致する青みに着色されていて、色温度を5400Kを7200Kに変えるLBB5相当の効果があります。


 また、NDの濃さは0.6と控えめにしているので、白っぽい空や曇天が不自然なほど青くならず、霞んだ青空は少し青みが増し、ほぼ白っぽい空は少し霞んだ青空くらいに適度な青みを加えられるのが特徴です。


・フィルターなし


・「Dual Purpose GND 0.75(HARD側)」使用


少し霞んだ青空を一般的なGNDフィルターで減光すると、青さよりもグレー色が強調されがちですが、SkyBlueを使うと、青空として好ましい青さを保ったまま、空の明るさを減光することができます。ただ、快晴の青空で使うと、空の彩度が高くなりすぎるので、あくまで霞んだ青空で使うのがポイントです。

・「SkyBlue(HARD側)」使用


 最初は、Sunset Orange FilterSunset Yellow FilterのBlue版として試作を行いましたが、SOFT GNDでは、地平線近くまで空の青みを出そうとすると、地上の風景も青みがかって不自然になってしまうことが多く、かといって、HARD GNDにすると、使えるシーンが空と地上がクッキリ分かれているシーンに限定されてしまいます。SkyBlueは、白っぽい空に青みを足すだけでなく、太陽が画角のすぐ近くにあって、PLフィルターの効果があまり期待できない、もしくは、PLフィルターを使うと偏光ムラが目立ってしまう場合に、青空の濃度ムラを補正できれば、とも考えていたので、緩やかにグラデーションが変化するSOFT GNDも外せない要素でした。

 そこで、フィルターを上下逆さまにすることで、SOFT GNDとHARD GNDを使い分けられるDualPurpose仕様にしました。前述したように青空の濃度ムラの補正にも使えるよう、従来のDual Purpose GND 0.75や0.9よりもND領域の幅を広げています。前述したように、ND濃度は0.6と減光効果が弱めなので、画面内に太陽が入るシーンで太陽の光を弱めたい、といった用途には、減光効果が弱すぎるので、このような場合には、Premium Medium GND 0.9やPremium Reverse GND 0.9などを重ねがけが必要です。

 ただ、夕景の赤みを増すSunset Orange FilterやSunset Yellow Filterなら、雲が赤く染まっても不自然ではありませんが、青空に雲が浮かんでいる場合にSkyBlueを使うと、空だけでなく、雲も青っぽくなってしまい、不自然な写真になってしまいます。そのため、SkyBlueが適しているのは、日は射しているけれど空全体が白っぽい、もしくは薄曇り、上空は青空だけと地平線近くの白っぽい空を少しでも青くしたいといったシーンです


・フィルターなし


・「SkyBlue(HARD側)」使用

半逆光でPLフィルターの効果は期待できないシチュエーションです。快晴ではなく、少し薄い雲がかかった霞んだ青空で、ストレート撮影ではわずかに空の青みが残っていますが、青空には程遠く、赤いポピー畑が映えません。そこで、こんなときこそSkyBlueの出番です。薄い青空の青みが増し、赤いポピー畑との色彩コントラストが高まりました。

・フィルターなし


・「SkyBlue(HARD側)」使用

太陽に薄い雲がかかって、薄陽は射しているけど霞んだ青空。雲で太陽が減光されているものの、太陽の周りの白トビを抑えるには、SkyBlueだけでは力不足。それでも、フィルターを使わず撮影した写真に比べ、太陽周りのグラデーションが保たれ、空の青みも増しています。もちろん、地上のポピー畑もより明るく写っています。ND効果が強すぎると逆効果なので、SkyBlue単体では必要最小限の効果に抑え、輝度差が大きなシーンにはPremium Medium GNDなどを重ねがけすることをお薦めします。

・フィルターなし


・「SkyBlue(HARD側)」使用

雲の隙間から一瞬太陽が顔を出し、真っ白なアナベルを輝かせてくれました。ただ、逆光気味で地上付近の空は霞んでいるので、ストレート撮影では背景の空がかなり白っぽくなってしまいます。そこで、SkyBlueのHARD側で空の明るさを抑えつつ、青みを足すことで、自然な青空に写すことができたと思います。樹木も少し青くなっていますがが、緑に青が足されてもさほど不自然にはならないようです。夕方近くということもあり、雲も少しアンバーがかっていたようで、SkyBlueでうまく色味が相殺されて、雲に青みは浮かずに済みました。

 あいにくの曇天で、どうにも絵にならなくて困ったときにも、SkyBlueが役に立つかもしれません。例えば、曇天の白い空をできるだけ避けたいけれど、そうしても空を入れた構図で撮影しなければならないときに、SkyBlueで曇天の空を青っぽくすることで、寒々しい雰囲気を演出したり、カメラのホワイトバランスを[曇天]や[日陰]に設定することで、地上の緑や地面の色が青くなりすぎず、それでいて、曇天の空がアンバーに濁らず、自然な曇天に再現することも可能です。


・フィルターなし


・「SkyBlue(HARD側)」使用

埼玉県皆野町の天空のポピー。あいにくの曇りでできるだけ空を入れない構図で撮影してみましたが、やはり曇りは曇りで、空が白っぽくなるのは避けられません。SkyBlueを使った方が空に青みが出て、晴れではないものの、遠景が青く霞んでいる感じを演出できました。

・フィルターなし


・「SkyBlue(HARD側)」使用

長野県上田市の信州国際音楽村です。この斜面に黄色いスイセンが咲き誇るのですが、2週間ほど遅く枯れ果てていて、小雨混じりの天気です。地上の風景に露出を合わせると、曇天の空が白っぽくまったく趣がありませんが、ここでSkyBlueを使うと、曇り空にグラデーションが出てきて、少しおどろおどろしさが出てきました。ホワイトバランス[曇天]で撮影しているので、地上の枯れ草などが青っぽくならず、曇天もわずかに青みが浮くことで、寒々しさが出ていると思います。

・フィルターなし


・「SkyBlue(SOFT側)」使用

同じく信州国際音楽村。ここまで曇天で色がないとモノクロにしてごまかしたくなりますが、SkyBlueのSOFT側を使って、曇天の明るさを抑えつつ、雲にグラデーションを出してみました。HARD側を使って空の明るさをしっかり落とすよりも、地平線付近を明るくすることで、アクセントが生まれ、奥行きが感じられる写真になりました。無理して写真を撮る必要はないシーンですが、SkyBlueを持っていれば、工夫次第で趣のある写真に仕上げることもできます。

 夜景や暮景にもSkyBlueは活用可能です。曇り空の夜景でSkyBlueを使えば、明るいグレーになりがちな曇りの夜空を適度な暗さに抑え、青みを出すことができるので、クリアな印象の夜景に仕上げることができます。

 また、都市夜景を撮影する際、ビルの窓明かりや街灯の地灯りで浮かび上がった建物が黄色っぽく濁ってしまう場合、ホワイトバランスを[電球]にすると、アンバーっぽさを抑えて夜空の青みも増すことができますが、あまりにも夜空が青くなりすぎて、少し不自然に感じることもあります。こうした場合に、SkyBlueのND領域を地上部分に逆掛けすると、地上の建築物の黄色っぽさを抑えつつ、空の色味を自然に再現することができます。

 さらに、マジックアワーを過ぎて、夜空が暗くなりすぎる時間帯でも、地上を2段減光することで露光時間を延ばせ、わずかに残った残照をより明るく再現できます。星景撮影で地上付近の光害を抑えたいときにも効果が期待できそうです。


・フィルターなし


・「SkyBlue(SOFT側)」使用


・「SkyBlue(HARD側)」使用

晴天の薄暮時にSkyBlueを使うと、早い時間帯に空を暗く落とすことができるので、滞在時間が限られているなど、早めに撮影を切り上げたいときに有効です。もちろん、曇天時に使えば、グレーの夜空を青っぽくすることができます。

・フィルターなし


・「SkyBlue(SOFT側)」使用

ストレート撮影では、地上の風景が少しアンバー、グリーンに色カブリしていますが、SkyBlueのND領域を地上の風景に逆掛けすることで、ビル群の窓明かりがクリアになり、地上付近の光害も抑えられるので、夜空により多くの露光をかけられます。

 一般的なGNDフィルターに比べると、SkyBlueが使えるシチュエーションはかなり限られますが、通常なら撮影を断念するような天候でもSkyBlueをうまく活用することで、ストレート撮影とはひと味違ったフォトジェニックな写真に仕上げられる可能性が広がります。


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