top of page

伊達淳一先生レポート【KANI】Dual Purpose GND 0.75 filter 検証

Kani Dual Purpose GND 0.75 filter <概要> Dual Purpose GND 0.75 filterは、フィルターの方向を上下入れ換えることで、1枚でSOFTとHARDの2通りの効果が得られる、これまでなかったタイプのハーフNDフィルターだ。最大濃度も0.75と、一般的な0.9よりも少し抑え気味にし、多くのシーンでND効果が強くなりすぎないように配慮しているのが特徴だ。 <解説>  日の出、日の入り前後など、明暗差が非常に大きな風景撮影に効果的なのが、ハーフNDフィルターだ。英語では“Gradation ND Filter”といい、型番などでは“GND”と略して表記されることもある。以前は樹脂製のハーフNDフィルターが主流だったが、最近は画質への影響が少ないガラス製NDフィルターが登場し、グラデーションのパターンや濃度のバリエーションも豊富なので、撮影シーンに応じて最適な効果が得られるハーフNDフィルターを選べるようになった。  定番は「SOFT GND 0.9」。ND部分から透明部分に緩やかに濃度変化するので境目が目立ちにくく、最大濃度部分で3段分の減光効果(ND8)が得られるのが特徴だ。ただ、日の出、日の入り前後は地表近くがもっとも明るいので、明暗の境目が緩やかなSOFT GNDフィルターでは地表付近を十分に減光できず、逆に空の上の方が必要以上に暗くなってしまいやすい。地表付近の空を効果的に減光したいときは、明暗の境目がもっとクッキリしている「HARD GND」や「REVERSE GND」フィルターが適しているが、海や川など水面の反射を含むシーンには、「SOFT GND」フィルターが適している。  そのため、ボクは「SOFT GND 0.9」と「REVERSE GND 0.6」の2枚を持ち歩くことが多いのだが、REVERSE GNDを使っていて気づいたのが、多くの撮影ではフィルターの中央部分しか使われておらず、REVERSE効果が得られるのは、縦位置で空を大きく入れた構図で撮影したときくらいで、横位置撮影の多くは、REVERSE GNDを使っていても、実際の減光効果はHARD GNDとほぼ同じではないか、ということ。  そこで、GNDフィルターをホルダーにセットした状態で、フィルターのどの範囲が使われているのかをチェックしてみると、ソニーのFE16-35mm F2.8GMで、フィルターの約75×50mmの範囲ということがわかった。他のレンズも試してみたが、フィルター径が77~82mmクラスの超広角、標準ズームならだいたい似たような結果だった。考えてみれば、100mm幅のフィルターをホルダーにセットした状態で、縦横比3:2の画面が最大限でどれだけ入るかを確かめてみれば、想像していたよりも狭い範囲しか使われていないことがわかる。  それなら、もっとND部分の幅を減らして中央に持ってくれば、フィルターを挿入する方向を換えることで、HARDとSOFTの2通りの効果が得られるのではないか、とKANIに提案して生まれたのが「KANI Dual Purpose filter」だ。

使用範囲: SOFT GND

KANI Filter holder HT2(100mm幅用)に定番のSOFT 0.9を装着。75×50mmの枠を赤で表示しているが、フィルターが使われている範囲は意外と狭く、ほとんどのケースでは最大濃度の0.9まで使われることはなく、中央の境界付近よりちょっと上は0.6あるかどうかだ。レンズによってはもう少し広範囲を使うものもあるかもしれないが、ホルダーの枠やフィルター枠を考えると、だいたいこの範囲と考えていいと思う。

Dual Purpose filterに75×50mmの枠を重ね合わせてみた。縦位置で地上の風景をできるだけ多く入れられるように透明部分の幅を確保した分、ND部分が狭くなり、空を大きく入れたシーンは不向きになってしまったが、空が画面の半分程度を占める構図ならなんとかカバーできる。空を思いっきり多く入れる撮影には、既存のSOFTやREVERSEが適している。そこは使い分けが必要だ。

使用範囲: Dual Purpose (SOFT)横