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田村拓也先生寄稿記事:見慣れた風景がまるで異世界に!KANIの赤外線フィルター使用レポート。

KANIより赤外線フィルター3種が発売となった。

波長の違う「IR580、IR720、IR850」の3種である。筆者はもう10年以上赤外線写真にて作品作りを行って来ているがこのような特殊なフィルターが国内にて容易に入手できる様になったのはとてもありがたい。

発売にあたって監修を1年以上に渡りさせて頂き最高品質のフィルターに仕上がったと思っている。


さっそく3種類のフィルターを順番に作例を交えてご紹介して行きたいところだが実はフィルターの波長によって適したカメラが異なってくる。IR720nm(赤外線720ナノメートル以上の波長のみを透過するフィルター)は通常のデジタルカメラにて使用が可能だ。

一方、IR580やIR850はデジタルカメラに標準装備している赤外線カットフィルターを専門の業者などで取り外す処理を施したデジタルカメラ改造機での使用が前提となる。


赤外線写真に興味を持ちこれから始めようという方は手元のデジタルカメラで使用できるIR720フィルターがお勧めとなる。その後、赤外線写真の楽しさに気づかれた方はデジタルカメラの改造や改造済みのデジタルカメラを購入し楽しまれたら良いだろう。その辺の情報は筆者が管理者を務めるFaceBook「赤外線写真同好会」にて詳しく解説しているので参考にして頂きたい。


■IR720

まずIR720であるが先述した通り約720nm以下の可視光線をカットするフィルターでありそれにより赤外線のみを取り込む仕組みとなっている。通常のデジタルカメラ(無改造)でもこの領域の赤外光はカットしきれず若干透過してくる仕組みを利用して撮影するのである。そのため若干の長秒露光が必要となるが最近のデジタルカメラはISO感度もあげられるのでいろいろと試されると良いだろう。








【作例1】           

(フィルター無し、1/500,F8.ISO200) 


【作例2】

(IR720使用、8秒,F8,ISO200)


最初の作例はフィルター有り無しの比較であるが、この様にフィルターを装着する事で見慣れた風景が異世界へと一変する。(撮影モードはモノクロにて撮影しているがそのまま撮影すると真っ赤な写真となる)


【作例3】

(IR720使用、15秒,F8,ISO200)


【作例4】

(IR720使用、10秒,F6.3,ISO200)


【作例5】

(IR720使用、1/4秒,F4,ISO1600)


■IR580

こちらはデジタルカメラから赤外線カットフィルターを外した改造カメラ(フルスペクトル機)を使用しての撮影となる。低い波長からカラー情報を含む赤外光を写し込むことで一風変わったカラー写真を撮影する事が出来る。どのようなカラーバランスにするかは画像ソフトでの後処理となるがフォルスカラーと呼ばれる不思議な色味を作り出す写真はファンも多い。調整によって色味や雰囲気も変わるので作例をいくつかご紹介しておきます。


【作例6】

(IR580使用、1/640秒,F8,ISO400)



【作例7】

(IR580使用、1/640秒,F8,ISO320)


【作例8】

(IR580使用、1/1000秒,F8,ISO800)


【作例9】

(IR580使用、1/640秒,F8,ISO400)




■IR850

こちらもIR580同様にデジタルカメラから赤外線カットフィルターを外した改造カメラ(フルスペクトル機)を使用した撮影が前提となる。なお赤外線カットフィルターを外したデジタルカメラ(改造機)を使用する事で透過光率が向上し高濃度のフィルターを装着しても手持ちでの撮影が可能となる。IR850フィルターを使用する事でほぼカラー情報が含まれない赤外線のみを取り込む、そのためフォルスカラーの様なカラー写真には向かないがよりハイコントラストなモノクロ写真の撮影が可能となる。赤外線を反射する植物の葉(葉緑素)が白く写りあたかも雪景色の様に見える事からスノー効果などとも呼ばれる。


【作例10】

(IR850使用、1/500秒,F8,ISO6400)


【作例11】

(IR850使用、1/640秒,F8,ISO4000)



【作例12】

(IR850使用、1/500秒,F8,ISO6400)



【作例13】

(IR850使用、1/640秒,F8,ISO10000)


【作例14】

(IR850使用、1/500秒,F8,ISO3200)



【まとめ】

3種類の性格の違うフィルターを使用したが高品質なフィルターとして人気の高いKANI製とあってどれも安心して使用する事が出来た。特に赤外線写真はフレアーやゴーストが出やすい傾向があるがフィルター表面のコーティングの素晴らしさは他の海外製品とは一線を有する。特性上、全く発生しない訳では無いがもし現在使用の赤外線フィルターでその様な不満がある方はこの際に買い替えをお勧めしたい。

初めて赤外線写真にチャレンジされる方は無改造カメラを使用しIR720の選択となると思われるが基本的に三脚を使用したスローシャッターでの撮影となる事にご注意いただきたい。ただ本製品の品質の良さからISO感度をあげた手持ち撮影にも今回チャレンジした。通常の露出(EV値)と赤外線透過量の関係はイコールではない様だが晴天で条件が揃えばISO感度をあげての手持ち撮影の可能性も感じられた。

私は現在の赤外線写真をあえて「デジタル赤外線写真(Digital Infrared Photography)」と呼んでいる。

作例にてご紹介してきた通りフォルスカラーの撮影後の現像処理(カラースワップ)やモノクロ写真でもISO感度やWBによる撮影調整などデジタルならでは条件が揃ってきている。またミラーレスカメラを使用する事で撮影時にも高濃度のフィルターを装着しても視認性が確保できるようになった。フィルムカメラ時代に赤外線フィルムを使用した方も多いとは思われるがそれとはまったく違った世界があるのでぜひ「デジタルカメラでの赤外線写真」を楽しんでいただきたい。KANIより品質の良い赤外線フィルターが発売になったことでさらに追い風となりさらに赤外線写真ファンが増える事を望んでいます。









KANI赤外線フィルター監修 田村拓也 

【プロフィール】

日本写真家協会(JPS)会員

日本旅行写真家協会(JTPA)会員

撮影ジャンルは風景、スナップ、スポーツ(サーフィン)など多岐に渡るが、 デジタルカメラを使用した赤外線写真の普及に力を注ぎ赤外線カメラを使用した作品作りを行い発表している。

またFacebookでは「赤外線写真同好会」の管理者 を務め活動中である。



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